日向坂トゥデイ

2019年3月27日に「けやき坂46」から改名しシングルデビューした「日向坂46」に関する情報や感想を投稿していきます。

日向坂46、想像を絶する努力を重ねてきた上村ひなの。変化球だけで終わらない彼女の魅力とは。

12月1日(火)深夜に放送された『あちこちオードリー ~春日の店あいてますよ?~』(テレビ東京)に日向坂46のメンバー、加藤史帆(22)、佐々木美玲(20)、富田鈴花(19)、渡邉美穂(20)が出演。オードリーの二人がMCを務める日向坂46の冠番組『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)の裏話が多数繰り広げられた。

 

出演メンバー以外のエピソードも飛び出し、出演していないにも関わらずメンバーの河田陽菜(19)がtwitterでトレンド入り。さらに3期生の上村ひなの(16)が収録の裏で「大喜利のフリップを出すタイミングを間違えた」と号泣するというストイックなエピソードも公開された。

 

上村は2018年に開催された乃木坂46欅坂46けやき坂46の追加メンバーを合同で募集する『坂道合同オーディション』に合格。日向坂46の改名前のグループ『けやき坂46』に単独で配属され注目を集めた。加入当時はけやき坂46の原点とも言える元メンバー・長濱ねる(22)に似た容姿から一部メディアに「長濱ねるの再来」と囁かれることもあったが、彼女の独特なキャラクター性が知られるとともにこうした声は徐々に失われていった。

  

というのも、上村の天然でおっとりとしたキャラクター性は才色兼備のイメージが強い長濱ねると重なることはなく、番組やイベントなどを通して徐々に「変化球キャラ」が浸透。1期生・2期生メンバーとの初めての顔合わせの際に仕掛けられたドッキリで涙を流す様子なども放送され、そのピュアな一面も多くのファンの心を掴んだ。

 

そしてこうしたユニークなキャラクターの前に霞みがちだが、上村は『坂道合同オーディション』の合格者の中でも特に過酷な道を歩んできた。選抜制による厳しさが残る『乃木坂46』、後に改名を迫られることになる『欅坂46』に配属された合格者にも困難が待ち受けることになるが、上村がその道を歩むのは早かった。

 

上村がけやき坂46に配属されてから僅か3ヶ月、けやき坂46が日向坂46に改名し単独デビューすることが発表された。2019年3月27日にリリースされた1stシングル『キュン』で初めてグループの楽曲に参加、リリース前の3月5日・6日には『日向坂46 デビューカウントダウンライブ!!』(横浜アリーナ)が開催され、グループとして開催するライブに初めて登壇することとなった。

 

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そしてここからが想像を絶する怒涛のスケジュールの始まりだ。

3月14日には『MTV LIVE PREMIUM』に出演、その1週間後には『LAGUNA MUSIC FES.2019』、その数日後に『ZIP! 春フェス2019』、『TOKYO GIRLS COLLECTION 2019 SPRING/SUMMER』に連続で出演。

4月末からはデビューシングルの握手会と同時並行で『Rakuten GirlsAward 2019 SPRING/SUMMER』『AirAsia Presents メ~テレ MUSIC WAVE 2019 ~踊るラグーナビーチ~』に出演。

さらに7月17日には2ndシングル『ドレミソラシド』もリリースされており、2ndシングルのレコーディングやMV撮影も並行で行っていたことは想像に難くない。また6月21日に1期生・柿崎芽実の卒業が発表。一部の楽曲は柿崎の代わりに上村が参加することになり、急遽複数の楽曲の振りを覚えなければならなくなった。

 

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そして上村は覚えなければいけない楽曲が多かっただけでなく、その楽曲の難易度も初めから高かった。

けやき坂46の初期の楽曲と日向坂46の楽曲を見比べれば一目瞭然だが、グループ結成当初と比べてダンスの難易度やパフォーマンスのレベルは素人目で見てもわかるほどに上がっている。

簡単な振りから徐々に難易度を上げていった1期生、練習やリハーサルに費やせる時間がまだあった2期生に対して、上村は配属されて半年も経たないうちに短期間・短時間でハイレベルのパフォーマンスを不足なくこなすことが求められていた。

 

しかし半年前まで一般人だった少女がこれを悠々とこなせるはずもなく、2020年8月に公開されたドキュメンタリー映画『3年目のデビュー』では上村がレッスン中に涙を流すシーンが放映されており、親しい関係にあった2期生・小坂菜緒(18)に慰められる姿が収められていた。また3rdシングル『こんなに好きになっちゃっていいの?』の振り入れでも振りをなかなか覚えられず、号泣したエピソードもメンバーから語られている。

坂道グループ全体を見渡しても単独でグループに加入したのは上村のみで、気軽に相談できる同期がいない中、なんとか踏ん張りながらパフォーマンスの精度を上げていったことが様々なエピソードから読み取れる。

 

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一方で忘れてはいけないのが、冠番組『日向坂で会いましょう』をはじめ、舞台に立つ彼女は決して視聴者・観客にこうした弱い部分を見せてこなかったことだ。

だからこそファンは「変化球」に代表される彼女のユニークなキャラクターをストレートに楽しむことができていたし、同番組で見せた独特の切り口から繰り出される大喜利は多くの視聴者に彼女の存在を印象付けさせた。

さらに2ndシングルのカップリング曲『やさしさが邪魔をする』や、3rdシングルのカップリング曲にして初のソロ曲『一番好きだとみんなに言っていた小説のタイトルを思い出せない』で披露した力強い低音ボイスは話題を呼び、その可憐な容姿からは想像のつかない意外な一面に多くのファンが度肝を抜かれた。

また同期はいないものの、その分小坂菜緒をはじめとした先輩たちからの寵愛は深く、上村自身も誰かが卒業することを想像しただけで泣き出すほど強い信頼関係が築かれており、孤立することなく成長を続けてきたことが伺える。

 

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そんな上村の成長はこれまでなかなかクローズアップされることはなかったが、2020年9月23日にリリースされた1stアルバム『ひなたざか』のリード曲『アザトカワイイ』では初めて2列目に抜擢。1st~4thシングルまで全ての楽曲で最後列の3列目中央を任せられてきた上村にとって、大きな変化を迎えた楽曲となった。

また2020年2月16日に加入し上村の同期の扱いになった新3期生、高橋未来虹(16)、森本茉莉(16)、山口陽世(16)とは1歩差をつける形となった。

 

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そしてこの新3期生の3人との差を特に印象付けたのが、同年10月11日放送の『日向坂で会いましょう』で初披露した3期生の楽曲『この夏をジャムにしよう』だ。まだぎこちなさが残る新3期生と比べ、一人だけパフォーマンスの精度が桁違いに高く、上村が他の3人をリードしていることが見て取れる。

たった1年3ヶ月ほどしか加入時期に差がないにも関わらず、その1年3ヶ月の間にいかに上村が成長を遂げてきたのかがこれ以上ないほど伝わってくる映像だ。

 

上村は自他ともに認める「天然」なキャラクターだが、その裏では普段の穏やかな姿からは想像もつかない多大な努力を重ねてきたことが、彼女のパフォーマンスや立ち居振る舞いから見て取れる。そして時に折れそうにもなる自分の弱さをなるべく表に出さず、純粋にファンを楽しませようとする姿勢こそ、彼女の強さであり、上村の真の魅力と言えるのではないだろうか。

忘れてはいけないが、上村は15歳~16歳という若さでこれをやってのけている。10代半ばの少女がプロとしての誇りのもと、全力で駆け抜けていく姿は多くの人を勇気づけるはずだ。今後も彼女の躍進に期待がかかる。

 

日向坂46、変化と成長を続けるセンター・佐々木美玲。彼女の『ハッピーオーラ』はいかにして生まれたのか。

10月20日NHK総合テレビで放送された音楽番組「うたコン」内にて、けやき坂46(日向坂46の前身グループ)の楽曲「ひらがなけやき」が披露された。歌唱したのは日向坂46の一期生、潮紗理菜(22)、影山優佳(19)、加藤史帆(22)、齊藤京子(23)、佐々木久美(24)、佐々木美玲(20)、高瀬愛奈(22)、高本彩花(21)、東村芽依(22)の9名。同楽曲はけやき坂46の一期生として加入した彼女たちに初めて与えられた楽曲で、地上波では初披露。放送後には各メンバーが同楽曲を披露できた喜びをブログに綴った。

 

その中でも筆者の目に留まったのが、10月23日に投稿された影山優佳のブログ「つうがくろ」だ。

 

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同ブログでは一期生・佐々木美玲と共に撮影した写真がアップされており、以下のようなコメントが添えられている。

 

この衣装を着てる時の雰囲気が当時とかなり違くて、
大人になって、きれいになって、垢抜けて、
ほんとつよつよみーぱんだなって思いました!
影山 優佳 公式ブログ 2020.10.23 20:53

 

当時から彼女を知るファンも、日向坂46で初めて彼女を知ったファンも、多くのファンがこのコメントに共感できるのではないだろうか。それほどまでにこの佐々木美玲というメンバーは、加入以来大きく成長と変化を遂げてきた。

 

佐々木美玲の加入は2016年5月。既にグループを卒業した長濱ねる(22)、井口眞緒(24)、柿崎芽実(18)を含めた一期生12名でけやき坂46としての活動を開始した。2020年8月に公開された映画『3年目のデビュー』や、けやき坂46時代のエピソードを書き下ろした書籍『日向坂ストーリー』を見ているファンには周知の事実だが、彼女たちのスタートは決して順風満帆なものではなかった。

 

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結成から1年近く仕事と呼べる仕事のようなものはなく、2017年3月に開催された『けやき坂46単独公演』(Zepp Tokyo)で見せた彼女たちの表情にはまだ素人さながらのあどけなさが残っていた。一方、同公演中にZeppツアーの開催が発表されるなどグループにとって前向きな話題が飛び出し、いよいよ彼女たちの躍進が始まるかに思われた。しかしその矢先に起こったのが、ファンにとっては佐々木久美の『TIF激怒事件』と並んで有名な『楽屋立てこもり事件』だ。

単独公演からわずか2週間後の同年4月、『欅坂46デビュー1周年記念ライブ』(代々木第一体育館)が開催され、同ライブでけやき坂46のメンバー追加オーディションを同年夏に開催することが発表された。

このオーディションは小坂菜緒(18)をはじめ、後に日向坂46を牽引する2期生メンバーが加入するきっかけとなった転換点とも呼べるものだったが、当時を振り返った1期生・佐々木美玲は「私たち(1期生)も活動が始まったばっかりで、すぐ追加メンバー募集ってくると『私たちって意味ないんだ』って思っちゃって、その時はショックで本当にボイコットしようとしました」(『日向坂で会いましょう』2019年4月7日放送分より)と語っており、この時に彼女から出た「みんなで辞めよう」は日向坂46の歴史の中でも特に有名なセリフとなった。日向坂46としての1stシングル『キュン』の特典映像でもその当時の心境を語っている。

 

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しかしスタッフからの激励もあって彼女たちは絶望の淵から立ち直り、見事にZeppツアーをこなしていくようになる。当時まだ一般の中学生として『Zepp Namba公演』、『Zepp Nagoya公演』のライブビューイングに参加した小坂菜緒は公演の感想を以下のように語っている。

 

私は、大阪公演と名古屋公演をライブビューイングで拝見していました。
大阪公演はオーディション前、名古屋公演はオーディション期間中でした。
 
私は初めて、大阪公演で歌って踊ってるけやき坂46を見て、かっこよすぎて、感動して涙が出てきました。
その時に、同じステージに立ちたい。けやき坂46になりたい。と強く思い、オーディションを受けることを決意しました。
小坂 菜緒 公式ブログ 2017.12.21 11:47

 

このツアーで見せた彼女たちの努力が、自分たちのカラーを見つけようとがむしゃらに駆け抜けた姿が、後にグループの顔となる小坂の心を動かし、同時に多くのファンを獲得していった。

 

だが一期生の悲劇はこれだけで終わらない。同年9月、けやき坂46を代表するメンバー・長濱ねるのけやき坂46兼任解除が発表。欅坂46専任となり即日中にグループを離れることとなった。さらにこの発表の2日後に長濱不在の『Zepp Sapporo公演』が開催。後にキャプテンとしてグループを牽引する佐々木久美はこの日の公演をこう語った。

 

ひらがなけやきのハッピーオーラを
今まで以上に全開でやりきろうと意気込んだものの、
ステージに立つまではとても不安でした。

 

でも、いざ始まると
見にきてくださっている方全員が
私達のことを笑顔で見てくださりました。

ライブビューイングでも見てくださっている方々がいました。



11人のライブを最初から最後まで
一緒に楽しんでくださりました。

佐々木 久美 公式ブログ 2017.9.29 11:17

 

一期生にとっては青天の霹靂とも言える発表だったが、蓋を開けてみれば多くのファンが長濱抜きの彼女たちに声援を送り、公演は大成功に終わった。続く11月の福岡公演も成功を収め、ツアーファイナルとなる『千葉・幕張メッセ イベントホール公演』も柿崎芽実が骨折により参加できないアクシデントが起きたものの、彼女たちの集大成を飾るに相応しいものとなった。アンコールの『W-KEYAKIZAKAの詩』では多くのメンバーが歌唱中に涙を流した。

 

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このツアーを経てメンバー全員が変化と成長を遂げ、かつてのあどけなさは完全に無くなっていた。その中には当然「みんなで辞めよう」と口にした佐々木美玲も含まれていた。

 

そして彼女の変化と成長は一つの形となって現れる。2018年3月にリリースされた欅坂46の6thシングル『ガラスを割れ!』に収録されたけやき坂46の新曲『イマニミテイロ』で美玲がセンターに抜擢。同年6月に発売されたグループ初のアルバムにしてオリコン週間アルバムランキング1位を獲得した『走り出す瞬間』のリード曲『期待していない自分』のセンターにも彼女が抜擢された。

グループ単独でリリースする初の作品『走り出す瞬間』でのセンター抜擢は、実質的にグループを代表するメンバーに選ばれたの同義。名実ともに改名までのけやき坂46を牽引する存在となった。かつて本気でグループを辞めようと考えた少女の思いがけない大躍進だ。

 

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一方で彼女のセンター抜擢には疑問の声も少なくなかった。

美玲はグループ初の楽曲となる『ひらがなけやき』を含め、MV化された楽曲では常に2列目(最後列)で、決して目立つ存在ではなかった。むしろ『ひらがなけやき』『誰よりも高く跳べ!』で長濱ねるとWセンターを務めた柿崎芽実や、『それでも歩いてる』でセンターを務めた齊藤京子、常に1列目(フロント)で存在感を放ってきた加藤史帆が適任ではないかという声も上がっていた。

 

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たがこちらも蓋を開けてみれば、という結果になった。

アルバムの発売を記念した東名阪ツアー『けやき坂46「走り出す瞬間」ツアー2018』は全公演が大成功に終わり、それとともに美玲のセンターを疑問視する声も収まった。何より彼女が堂々と、そして楽んで舞台を駆け回る姿は、グループが掲げていたテーマ『ハッピーオーラ』そのものだった。そして『期待していない自分』のセンターに抜擢された時の美玲はこう語っている。

 

今回私がセンターで納得しない方ももちろんたくさんいると思います。


でも私が今それを気にしてもどうにもならないし、それなら今センターを務められたから一生懸命頑張るしかないなって思います。


みんなの前に立ってるいじょう、今まで以上にちゃんとしなきゃなって思います。


前に立って初めて、今まで自分に甘かったなって思うことも沢山ありました。



とにかく、自分らしく頑張りたいなって思います。

たくさん不器用なことはあるけど、一つ一つ頑張りたいです。



頑張ります。

佐々木 美玲 公式ブログ 2018.5.31 12:08

 

この言葉どおり、彼女はファンに全力投球の姿を見せた。

『期待していない自分』のMVでは思いがけない表現力の高さを見せ、アルバムに収録されたソロ曲では高い歌唱力を披露。ライブでは持ち前の明るさと愛らしさに溢れた笑顔で多くのファンを魅了した。特にその表現力は注目を集め、2019年1月には女性シンガー・Aimer(エメ)のトリプルA面となる16thシングル『I beg you/花びらたちのマーチ/Sailing』に収録された『花びらたちのマーチ』のMVに出演。けやき坂46知名度拡大に貢献した。

 

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けやき坂46に入り急成長したかに見える美玲だが、実は彼女の潜在能力の高さは加入当時からピカイチだった。オーディションの審査員から"special"を意味するS評価を付けられた長濱ねるから「完璧人間。ダンスも歌も出来るし、ひらがなけやきで1番憧れている」と紹介されたほどで、加入当時の美玲に不足していたのは将来への不安から来る『自信』だけだったとも考えられる。

 

そしてけやき坂46から日向坂46への改名をもってセンターのポジションを2期生・小坂に譲るが、タイミングを同じくして『non-no』の専属モデルへの起用が発表。活躍の幅をさらに広げることとなった。一方でこのタイミングで彼女の口から出たのは再び「不安」の二文字だった。2019年3月26日付けのブログで彼女はこう語っている。

 

実は、今まで活動してきた中で、私はグループをやめようと真剣に悩んだことが2回だけあります。

まずは2期生の追加募集を知った時。これはキュンの個人PVにもなっています。



あとね、もう1つは実はわりと最近です。

本当に、結構悩んでました。

逆にこれを今言えるって言うのは、その考えが一切消えたから言えることです。


自分でも今まで1度しかやめたいと思ったことがなかったので、やめたいと思った時自分が一番びっくりしました。
考え方が昔と変わったんだなーって。


毎日毎日悩んで泣いて、どうしたらいいかわからなくて、米さんにもメールして話を聞いてもらう約束をしたり、スタッフさんに打つメールの文とかブログにあげる文を考える所まで考えていました。

そこまで考えていたのは今回が初めてです。

佐々木 美玲 公式ブログ 2019.3.26 23:48

 

この真相は未だに明かされていないが、この時期は姉妹グループ欅坂46内部のゴタゴタや、後に活動休止を挟むことになる二期生・濱岸ひより(18)の体調悪化、1stシングルの活動を最後に卒業を発表した柿崎芽実の件など、様々なことが重なっていた時期だった。

だがこのブログで「卒業の考えが一切消えた」と名言している通り、彼女は本来の明るさを取り戻した。かつて2期生の加入を恐れていた彼女の姿はどこにもなく、活動休止に入った後輩・濱岸ひよりを休止中も常に励まし続け、彼女の復帰にも大きく貢献している。

こうした彼女なりの優しさや、後輩一人ひとりを細かくフォローする姿は、キャプテンの佐々木久美から「日向坂のお母さん」とも称されたほどだ。マイナビニュース『日向坂46キャプテン・佐々木久美の奮闘 「本当は先頭に立つのが苦手」も覚悟を決めて』より

news.mynavi.jp

 

しかしファンの目には一抹の不安が映っていたことは否めない。というのも、1stシングル『キュン』ではフロント(1列目)に抜擢されたものの、2ndシングル『ドレミソラシド』、3rdシングル『こんなに好きになっちゃっていいの?』では2列目、4thシングル『ソンナコトナイヨ』では最後列(3列目)になるなど、徐々に後方のポジションを任される機会が増えていた。

 

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だがそんな逆風を追い風に変えられるのも佐々木美玲の強さだ。2020年3月には日本テレビ系列で放送されている朝の情報番組『ZIP!』の情報コーナー『流行ニュース キテルネ!』のリポーターに抜擢。同年7月にはテレビ東京の『ドラマ25』枠で放送されていたテレビドラマ『女子グルメバーカー部』にも単独出演。かつてAimerのMVに出演した時と同様、個人の活動を通して自分の知名度を上げ、グループの知名度拡大にも貢献した。

 

また7月に開催した無観客ライブ『HINATAZAKA46 Live Online, YES!with YOU! ~“22人”の音楽隊と風変わりな仲間たち~』で彼女が見せたパフォーマンスも印象的だった。けやき坂46時代に披露していた『期待していない自分』では、歌詞の中で激しく苦悩し葛藤する主人公の姿を痛烈に表現していたが、同ライブでは打って変わって、苦悩を達観し自らの足で歩みだそうとする主人公の姿を表現した。次に向かって歩みだそうとする今の自身を投影したかのような表現は、美玲の心境そのものだったように思えた。

 

そして同年8月、グループの冠番組『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)で、9月23日にリリースする1stアルバム『ひなたざか』のリード曲『アザトカワイイ』で美玲がセンターに返り咲くことが発表された。

18日には同曲のMVが公開。小坂がセンターを務めた楽曲とは異なり、美玲が中心となって周りを包み込むような、あたたかみを感じるMVとなった。これまでリリースしたシングル4曲が”日向坂46としてのアイデンティティの模索”だと捉えるのであれば、今回の楽曲はけやき坂46の頃にあった「無邪気さ」や「がむしゃらなマインド」を再び取り入れたような仕上がりになっている。

 

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かつてけやき坂46の先頭に立って形のない未来を全力で追っていた美玲が、今度は日向坂46の殿(しんがり)としてグループのありのままを支えている。グループとしても個人としても、様々な活動を経た2年の間に、彼女はまた新しい変化と成長を遂げていた。

人ととしてもパフォーマーとしても進化し続ける彼女の姿に期待せずにはいられない。今後も佐々木美玲の行く末を要チェックだ。

 

日向坂46、仲間から愛されて成長してきた『小坂菜緒』。センター交代劇で見せた涙の真意を読む。

8月9日放送の『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)にて、日向坂46が9月23日にリリースする1stアルバム『ひなたざか』のリード曲「アザトカワイイ」のフォーメーションが発表された。

2月16日に加入した新3期生の髙橋未来虹、森本茉莉、山口陽世、約2年間の休業を経て復帰した1期生・影山優佳も参加し、グループとしては初の22名体制での楽曲となる。

 

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その中で一際ファン(おひさま)の話題をさらったのが、2期生・小坂菜緒のセンター交代劇だった。1stシングル「キュン」から4thシングル「ソンナコトナイヨ」まで日向坂の顔として4作連続でセンターを務めてきた小坂だったが、本曲では1期生・佐々木美玲に交代。けやき坂46時代を知るファンからは美玲の久々のセンター復帰に歓喜する声が飛び交った一方、番組ではポジション発表時に小坂が涙した姿も放映され、心配や憶測の声も聞こえてきた。

 

 筆者もこうした声に注目した芸能メディアの記事を何件か目にしたが、その中で語られているものの多くが「センターとしての負担を緩和させるための措置」という論調だった。

8月16日(日)に掲載されたアサ芸プラスの記事『日向坂46小坂菜緒、「センター外れ」で蘇った生駒里奈の“倒れ込み事件”(2020年8月16日)|BIGLOBEニュース』や、同日に掲載されたReal Soundの記事『ドキュメンタリー『3年目のデビュー』でも描かれたセンター小坂の苦悩 - Real Sound|リアルサウンド』がその代表格だ。

 

一方でけやき坂46時代から彼女たちを見てきた筆者としては、乃木坂46の初代センター・生駒里奈欅坂46で不動のセンターとして扱われてきた平手友梨奈と小坂には大きな違いがあると考えている。それこそが坂道グループの中で日向坂46にしか存在しない『けやき坂46』時代の存在だ。

 

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日向坂46の前身であるけやき坂46は2016年の5月に現1期生が加入し正式に活動をスタート。2019年3月のラストライブでその歴史に幕を閉じるまでの約3年間、欅坂46のアンダーグループとして活動してきた。

 

けやき坂46時代にセンターを経験したメンバーの数は坂道グループ全体を見てもかなり多い。グループ設立のきっかけとなった長濱ねる、2019年8月にグループを卒業した1期生・柿崎芽実、現在もフロントメンバーとして活躍している1期生・加藤史帆齊藤京子、そして今回のリード曲でセンターを務める佐々木美玲と、非常に多くのメンバーがセンターを経験してきた。

けやき坂46時代にリリースした1stアルバム『走り出す瞬間』の2期生曲やユニット曲まで含めるとさらに多くのメンバーがセンターを経験しており、その中には2期生に初めて与えられた楽曲「半分の記憶」でセンターを務めた小坂も含まれ、彼女は改名直前の代表曲「君に話しておきたいこと」でもセンターに抜擢されていた。

 

また乃木坂46の生駒や欅坂46の平手はグループに加入した当初から表題曲のセンターを任されていたが、小坂に関しては加入してから1stシングル「キュン」でセンターに抜擢されるまで約1年半のブランクがある。またまずは2期生として1期生の背中を追う立場で活動しており、当時のけやき坂46はライブ活動に力を入れていたため、場馴れする機会も豊富にあった。いきなりセンターとして大舞台を任された生駒や平手とは状況が大きく異なる。

 

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さらに小坂にとって大きな支えとなっているのが、このグループならではの仲の良さや連帯感だ。けやき坂46時代から振付に関わり、日向坂46の最新シングル「ソンナコトナイヨ」まで表題曲全ての振付を担当してきた『振付ユニット・CRE8BOY』の秋元氏も同グループの仲の良さが大きな武器になっていると語っている。(8月7日より全国で公開中の映画『3年目のデビュー』より)

また同映画内では涙を流す小坂の横に1期生の加藤が寄り添い、慰めながらも何故か小坂の手のにおいを嗅ぐというコミカルなシーンも映し出されており、けやき坂46時代の彼女たちのエピソードを描き下ろした『書籍・日向坂ストーリー』でもメンバー同士の関係性を象徴するエピソードが絶えない。

同書では同期の松田好花から「話聞いてあげるから、うちにおいで」と声をかけられたり、キャプテンの1期生・佐々木久美から「こさかなはこさかなだから、周りは気にしなくていいんだよ」と励まされたり、日向坂46としての初ステージで緊張する姿を見かねた1期生・齊藤京子から優しく背中をポンポンされたりと、多くのメンバーが彼女を信頼し支えてきたエピソードが収録されている。

 

特にセンター経験者が豊富だからこそ技術面・精神面の両方で小坂をサポートすることができ、実際に日向坂は全てのシングルで、「それでも歩いてる」でセンターを経験した齊藤京子、「ハッピーオーラ」でセンターを経験した加藤史帆を小坂の左右に配置するフォーメーションを取っている。1stシングル「キュン」に至っては小坂のまわりを全員センター経験者で固める盤石ぶりだった。

日向坂46には、選抜制という厳しい環境の中でセンターが決められてきた乃木坂46や、天才的な表現力から平手友梨奈にセンターを一任し続けてきた欅坂46とは違った環境・風土が築かれている。そして小坂の側には常にたくさんの仲間の支えがあったことが、こうした様々なコンテンツからも読み取れる。

 

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だからこそ筆者が感じた涙の真意は「悔しさ」が強かったように思える。センターは彼女たちをプロデュースする運営スタッフやファンの支持があって初めて任されるポジションだ。それだけに特別であり、強いプレッシャーがのしかかる。

多くのファンに同意いただけると思うが、筆者の目から見ても小坂はあらゆる活動で手を抜いたことがなかったように思える。1stシングルの時点では、けやき坂46時代に見た佐々木美玲の意外性や表現力と比較し物足りなさを感じたファンもいるかもしれないが、そんな感情をすぐに払拭していくほど彼女は堂々としたパフォーマンスを披露してくれた。

3rdシングル「こんなに好きになっちゃっていいの」でもこれまでと違ったシリアスな表情や葛藤する姿を見事に表現していた。日向坂46としては初となるテレビドラマ『DASADA』の主人公・佐田ゆりあで見せた普段とのギャップや意外な演技力の高さに驚いたファンも少なくないはずだ。

 

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それだけの努力を学業と両立する中で重ねてきたからこそ、ポジションへの不安はあれど、センターとしての役割への自信、小坂菜緒という一人のアイドルとしての自信は、彼女の中で必ず付いていっていたはずだ。実際に本人も自身のブログで以下のように吐露している。(原文ママ

 

でも、いざこうなると、解かれた安心感なのか解放感なのか、外れた悔しさなのか悲しみなのか、よく分かりません。

 

確かに、辛い時期もありました。

皆様に心配をかけるような事もありました。

 

 

でも、私はやりたかったんです。

任されたからには、全力で頑張りたかったんです。

小坂 菜緒 公式ブログ 2020.8.11 23:36

 

こう思えるようになるまで全力で走り抜けてきた小坂が「センターという重圧、鎖からの解放、安心感」という気持ちだけで涙を流したとは決して思えない。当時17歳という年齢で流すには不相応なくらいに強い意思がこもった涙だったと筆者は考えている。

 

ただ小坂のファンは特に感じていると思うが、『アザトカワイイ』のMVやプロモーションの一環として配信されているリハーサル動画『ひなリハ』、9月12日(土)に出演した『THE MUSIC DAY』で目にした彼女からはこれまでにはないとてもリラックスした表情が見て取れる。

 

だから、私は、皆さんがご想像されているよりも、マイナスではありません。むしろプラスです( ¨̮ )

 

 

けやき坂461stアルバム「走り出す瞬間」の時に、ずっと背中を見てきて、すごく大好きで、いつしか憧れの存在になってて

今回は後ろじゃなくて、隣でパフォーマンスができるのが、私は嬉しいんです

 小坂 菜緒 公式ブログ 2020.8.11 23:36

 

こうブログで綴っているように、未だ悔しさや悲しみの渦中にいるということはなく、新しいポジションと役割を全力で楽しんでいるのが見て取れる。今回のセンターがかつてセンターとしてグループを牽引してきた佐々木美玲で、彼女のお陽さまのような明るさに支えられ、のびのびとやれている部分もあるのかもしれない。

 

次回は若干20歳にしてキャプテン佐々木久美から「日向坂のお母さん」と形容される新センター佐々木美玲についての記事を予定。その笑顔と成長の過程に迫る。

 

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